2023/07/13 22:25
なぜ、レコード愛好家はオリジナル盤を追い求めるのか?
それは、当時の音楽や雰囲気をそのまま伝えてくれるからです。
紙やインクの質感や鮮明な写真などが放つオーラ、そしてクリアで素晴らしい音質など、その価値は数え切れないほど多くあります。
もし、あなたがオリジナル盤を所有しているのなら、そのレコードは間違いなく特別な「何か」を持っていることに気付いているでしょう。
しかし、レコードの「オリジナル盤」という言葉は現在でも正確かつ明確に定義されているわけではありません。
そのため、様々な「オリジナル盤の定義」が愛好家の間で繰り広げられるようになったことが、混乱を招く要因となっています。
このブログでは、私個人の経験に基づく「オリジナル盤の定義」を書いてみました。
私見になりますが、ぜひ一読してみてください。

(当店自慢、コンディション極上のオリジナル盤「E2-E4」)
1.ファーストプレス(1st pressing)とはオリジナル(original pressing)の一部である
ファーストプレス(1st pressing)という言葉が使われることで、オリジナル盤の概念が混乱することがあります。
オリジナル盤という言葉は一般的に、ファーストプレスだけでなく、それ以降のプレス・バージョン(2ndプレス、3rdプレスなど)を含む広義の意味で使われることが多いです。
なお、この場合はどこまでのプレスをオリジナルに含めるかという問題がありますし、実際に中古レコード市場で流通する「オリジナル盤」のほとんどがファーストプレスに限ったものではありません。
最近の書籍によると、オリジナル盤の定義については、「当時リリースされてから見た目が変わるまで」という解釈があります。(出典:「アナログレコードにまつわるエトセトラ」、山中章著 、辰巳出版、2023,p.6)
したがって、以降の議論は「オリジナル盤とはファーストプレスだけでなく、ファーストプレスと以降のプレス・バージョンを含むものを指す」という前提で進めます。
2.レコードはオリジナル盤と再発盤(repress, re-issue)しか存在しない
ファーストプレス盤がオリジナル盤に含まれると考えるなら、レコードの分類は簡単になります。
つまり、「レコードはオリジナルか、それ以外か。」という分け方が成り立ちます。
ここで、「それ以外」とは再発盤を指します(ブートは除外します)。
オリジナル盤と再発盤の違いは音質にも影響を及ぼします。
一般的に、オリジナル盤の方が再発盤よりも音が良いとされており、これは再発盤が発売されるとオリジナル盤の価格が高騰することからもわかることです。
多くのレコード愛好家が再発盤に対して不満を持つのも理解できるでしょう。
オリジナル盤の独特な音質や歴史的な価値を求める人々にとって、再発盤は当時の制作者の意図や雰囲気を正確に再現していない場合があるためです。
3.オリジナル盤を定義する
前述したとおり、オリジナルを定義するにあたっては、ファーストプレス以降のどこまでのプレスを含めるべきかが課題になります。
しかしながら、この課題はこれまで解決が難しく、将来的にも解決されることは無いでしょう。
そこで、私はオリジナル盤について以下のように定義することにしました。
「オリジナル盤とは、再発以外のレコードを指す。」
再発盤を除外することでオリジナル盤を明確にする試みです。
もしかしたら、私の提案が軽率だと思われるかもしれませんが、これが私の考えるレコードのオリジナル盤の定義なのです。
さて、この定義に従えば再発盤の判断基準が必要になります。
4.再発盤に対する判断基準
再発盤の判断は、定義の曖昧なオリジナル盤を直接的に判断するより容易かもしれません。
レコードをアンティークに例えると、オリジナル盤は本物、再発盤はリプロダクト、いわゆるニセモノ扱いとなります。
先に述べた通り、ニセモノである再発盤の音が悪いのは自明の理です。
したがって、再発盤の判断は聴くことが最も確実であるといえます。
つまり、その判断を自分の第一印象(直感)に委ねるのです。
例えば、手に取って触って、見て、聴いた結果、感動も無く、何か怪しいと少しでも疑念を感じたら、このレコードは再発盤であると判断するのです。
これは主観的な判断になりますが、何ら問題ありません。
感動やワクワク感が得られないレコードを所有することに、もはや何の意味があるのでしょうか。
オリジナル盤が持つ、特別な「何か」を持ち合わせていないレコードなのです。
そのようなレコードは、もはやオリジナル盤と呼べないでしょう。
5.最後に
オリジナル盤は、手に取った者を決して失望させることは無いと私は信じています。
レコードに触れ、そして聴くことで、レコードに対して感じた印象を大切にして、再発盤の可能性について判断してください。
これは主観的な方法ですが、意外と当たることがあります。
私自身もこれまでもそうやってレコードと接してきました。
もちろん、今の時代はDiscogsなどのオンラインデータベースを利用すれば簡単に情報を調べることができますが(笑)
ただし、この経験や直感も重要で、レコードを楽しむ上で大切な要素だと考えています。
以上です。
感想やご意見、お待ちしております。
お読みいただきありがとうございました。
TK@FeelWaxRecords